2012年4月30日月曜日

20120429 満田正さん「福島原子炉包囲網日誌」〜 飯館村の徐染(1)、南相馬の除染(3)


From: 満田正 
日付: 201242923:15 

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27、28日と飯館村に入り、NPO法人「ふるさと再生のメンバー」の案内で色々のことを教わった。
もちろん、僅かならがその除染作業にも加わり、持参したRDEX線量計での測定も行った。
その報告を兼ねて現状の問題を纏める。
1)飯館村は、全村立ち入り禁止区域である。
2)宿泊は不可能であるので、伊達市「ふるさと体験」で宿泊し、飯館村への通勤となる。
3)飯館村は国の管理状態であるので、全ての活動は個人の活動であっても村の許可を得て行われている。
4)したがって、村を24時間監視する「見守り隊」の許可証が必要である。これは新潟地震柏崎原発の時と同じパターンである。
5)「ふるさと再生」は村人による再生事業を試みる集団として、色々のプロジェクトを企画・実践している。もちろん村との連携は強い。
6)私の仕事柄、「ふるさと再生」が利用しているGPS付き線量計には驚いた。まだ、試作段階とはいえ、充分使用実績を積んでおり、普及を願う。とにかく、現在国、県、市が行っている観測の不合理は目に見えているのであり、この装置の速やかなる共用が必要である。
7)次の興味は田んぼの除染方法の1つ、代かき除染である。田んぼの土を泥状にすることで、比較的粒子径の小さいセシュームを浮遊させ、排水と同時に取り除ける。排水でのセシューム除去は次の課題ではあるが。少なくとも田んぼからは、土を大きく喪失しないで、8割の除染が可能であるという説明にも納得である。
8)幾多の植物による放射性物質吸収効果も確かめられている。データはふるさと再生のホームページ上にある。http://www.fukushima-saisei.jp/
9)現在、政府主導による警戒区域の見直しが、川内村、小川町、南相馬と順次行われているが、聞くところによるとその住民説明会はそれぞれの市町村で混乱しているようである。それは、警戒区域の見直しで、住民利害が浮上し、住民間の分裂が発生していることである。飯館村でも政府の警戒区域見直しを控えて村人の間でも対立が起きているようにも見える。
10)このブログでも飯館村の長谷川憲一さんの講演を聴いて感動したことを報告したことがある。彼の主張は当初から全村避難である。実際には、飯館村には1人も居住できない状態である。一方で飯館村に帰りたいとする高齢者の人々も多い。ふるさと再生の人々もこの老人達への希望を与えている。ただ、除染技術の展開が極めて重要であると感じた。
11)とにかく、南相馬と同じに飯館村の放射線量は極めて高い。羽村市での住民説明会での資料などは問題外である。すなわち、全村0.232.5μSv/hであることはもちろんのこと、立ち入り禁止とされる2.5μSv/h地域が多いということである。そこには、昼間だけとはいえ、住民が除染作業を目指している。一方で完全防護服、マスクをした外部作業者と無防備の住民とのコントラストが目立つ。今後の展開の複雑さを物語る。
12)私は、沢山の新たな体験を経て飯館村を後にした。そこで活躍しているのは昔の仲間も多い。ただ、この飯館村の先進事業に比して、余りに遅れ遅れている国、県、市町村、企業の対策進行を考えたときの私の行うべきことの虚しさも感じる。
飯館村に向かう途中、南相馬市で新たな見直しで立ち入り解除となった小高地区へと案内をしていただいた。
案内者は二度目とは言え、飯館村から、小高地区への山道は半端なものではなかった。
午前中に立ち寄る計画が、実際に、飯館村に帰ってきたのは、4時過ぎである。
除染作業を予定はしていたが出来なかった。
代わりに村人との話に花が咲き、6時には、飯館村の宿泊所に赴いた。
今回巡回した南相馬市小高地区の除染作業は、かって参加したことのある原町地域の風景とは一変していた。
1)数時間かけての飯館村から小高地区への林道を走っての道程は、跳ね返る車体への石の音と言い、車体を沈めそうな水溜り、道路の亀裂と並の運転ではなかった。としても、途中引き返すような距離ではない。
2)山中の放射線量は半端な数字ではない。数時間の道程ではあるが、肌につけた積算線量計は10μSvを記録していた。いわゆる、4,5μSv/h以上の放射線汚染地域を走っていたことになる。
3)こんな高線量での山中には人っ子一人も居ないのは当然であるが、山中の桜は満開で、下りて花見もしたいと心は弾んだが、その誘惑には乗れなかった。汚染もさりながら、道路事情はさらに最悪である。
4)数時間の道程の跡で、小高地区に入っての驚きの最初は、道路の検問が原子炉から10km圏内にあることだ。20km圏内には近寄れないとした、今までの知識が嘘のようである。
5)その周辺には、ブルドーザー、自動車が転々と放置された儘である。家など流されたのか影も無い。確か、津波以降は立ち入り禁止で、片付けもできない状態であったのであろう。その悲惨さを思い出すと同時に、改めて津波被害の大きさを感じてしまった。それ以上に、目に見えない敵の恐ろしさにもどうしても触れざるを得ない。
6)この改めて立ち入り解除された小高地区の見学は、小1時間と短いものであった。まだ、水が引かず、中海のような状態も、我々の行き先を阻んでいた。
(満田)

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